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10月13日 伝統的バルサミコ酢ミュージアム 見学

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お次に向かったのがバルサミコミュージアム。
行くと最初に、バルサミコとは何ぞや?という日本語吹き替えのVTRを見せられます。
ここで一通りのバルサミコの基礎知識をインプットすることになるので、ミュージアム内はガイドなしで自分たちでまわるのかしら?それなら、ミュージアムのHP全部印刷して、細かく読み込んで予習してきたのは役に立たないじゃん、前の日、寝る時間惜しんでベンキョーしたのにぃ・・・と思っていたところ。

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フィルムを見た後は、3階にあるバルサミコの熟成室へ。いくと熱血オヤジが登場し、いきなり熱弁をふるい始める!
熱心に説明してくれるのは大変ありがたいのだけども、オジサン、熱が入りすぎて、なかなか説明を切ってくれない。私の頭に入ったフレーズは日本語の音声として口から出る前に、次から次へとオジサンの津波のように押し押せる解説で流されてゆき、同時通訳なんてとても無理。2分近く以上しゃべったあとに、「じゃあ、どうぞ訳して(ニッコリ)」というのだけども、私、逐次通訳としても失格でオヤジの2分にわたる解説を30秒でコンパクトに(というか前半しゃべってくれたことの記憶が無い…汗)皆様へ説明。ロベルトも、オジサンの説明を要約してくれたりして手伝ってくれました。予習(=専門単語の暗記とか)をしていたので何とかしのげましたが、やっていなかったら…と思うと今でも冷や汗が出そう。。実はこのバルサミコオヤジとの時間が私にとってこの旅一番のパニックだったのでした。みなさん迷惑かけました。テンパリ通訳で意味わからんことを言ったかもしれませんので、ここで復習してくださいな。

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モストコットを作るためのアンティークの道具。今はもっと近代的な機械で処理します・・・  

もっとも、オジサンが繰り返し強調していっていたことは
伝統的バルサミコはモスト・コット(ブドウのしぼり汁を加熱したもの)のみで造られ、他の添加物は一切加えられないということでした。
このモスト・コットは何でもかんでもブドウを煮詰めりゃいいってものでもなくて、
使われるブドウの品種は、スパニッシュ・トレビアーノ(甘さを引き立てる)、ランチェロッタ(ビロードのような色合いのバルサミコを作り出す)、ランブルスコ(酸味のベースになる)の3種類、しかもエミリア・ロマーニャ産のみ使用されます。
ブドウは、果実をつぶさないように収穫し、一晩かけてブドウの汁をしぼり、これを約30時間、あくを取りながら濃縮させていきます。(温度は90~95℃で加熱するとバルサミコになりやすくなる)

さらに、オジサンは気取って
まぁ、強いて言うとすれば、必要なのは伝統的バルサミコに加えられるのは木樽がもたらす奇跡と、あとは年月という忍耐だね・・・」というのでした。

一体、どれだけの年数が必要かというと最低12年、長いもので25年と気の遠くなるような年月を要します。
最初の5~6年ブドウ汁が酢化しながら、光沢のあるこげ茶へと変化し
12~14年かけて熟成期間に入り、
14年目以降は、味・香・色が三位一体化し、バルサミコの奇跡といわれるハイレベルな熟成の期間となるわけなのです。

ただのブドウ汁が芳醇な香りをたたえた伝統的バルサミコ酢として熟成していくのです。
この伝統的バルサミコの熟成に欠かせないのは、木樽。
木樽は、酸素の交換しながら、バルサミコの発酵を促したり、時にはそれを緩和させながら円熟させていくのが役割。
樽に使われる木材にもこだわりがあり、伐採後、に4~5年かけて木を熟成させた後に専門の職人によって木樽が作られていくのです。品質チェックをうけて合格した木樽は3~4世代にわたって使い込まれていくのです。

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伝統的バルサミコとしての風味を得るには、最低5種類の木樽内での熟成期間が必要で、その木材はオーク、栗、クワ、ジュニパー、桜、他にはCACCIAとFRASINOという木材が使われるそうです。このイタリア語表記の木は辞書に載っていないので何かはいまだ不明(詳しい方、教えてください)
それぞれの木の特徴的な香りがモストコットへと染み込み、伝統的バルサミコへと変化していくのです。なんて壮大なお話でしょうか!?

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最初は大きい樽での熟成、その後、中身をすこしづつ、小さい樽へと移しかえられながら、伝統的バルサミコは屋根裏部屋で熟成していくのです。
なんで屋根裏かというと、寒暖の差が激しい屋根裏は酢の熟成によい環境なのだそう。
夏は微生物が活発に、冬の寒さははバルサミコに輝きをもたらすのだそう。

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ちなみに、酸素とよく触れるように木樽のフタは空けた状態で熟成させます。ホコリが入らないようにシンボルマーク入りの布を一枚置きます。

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一般的に市販されているいわゆるバルサミコは、“バルサミコ風味の酢“でワインビネガーに、ブドウ汁やカラメルなどを加えて短期間に“製造”するので、伝統的バルサミコとは当然区別されるわけです。(伝統的バルサミコと呼ばれなくても、おいしいバルサミコはいっぱいあります。念のため)
伝統的バルサミコを販売する際には100mlの、底が長方形、つぼ部分が丸いフォルムのビンにのみ詰められ販売されるのです。

ふ~。ここまでがオジサンの説明。長い講釈をいただいた後には、お待ちかねの試食タイム♪
12年物と25年物を試食用スプーンに山盛り(おかわり自由)だったのですが、味見するみんなの表情は・・・。

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「おいしいけど、酢なのでこの量をこのまま飲むのはキツイ」
とのこと。(「25年物のお値段知ったら、もっと味見すればよかったって後で後悔しますよ」と言いましたところ、みんなじゃあ、ということで無理におかわりしていましたけどね~)

そんな、わがままいう子達にはコレ。
じゃじゃん。

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伝統的バルサミコを使ったフルコース で、どうでしょう。
見学を終えた後に、近くのトラットリアにて本日のランチなり。
■ブレザウラとルッコラのサラダ バルサミコがけ
■バルサミコのリゾット
■フリッタータとスカロッピーネ バルサミコがけ
■ジェラート バルサミコがけ
バルサミコの風味が最大限に生かされる料理となると、こういった超シンプルなものになるのでしょう。旅・3日目にしてすでに胃がお疲れのわれわれにとって、酸味のきいた食事はリフレッシュになりました。全員から受けが良かったのはバルサミコのリゾット。色は醤油ご飯的な感じなのですが、ほのかな酸味とバルサミコ特有の香りが食欲をそそり、私は3回もお代わりしてしまいました。んまい❤❤
甘党チャンたちにはジェラートが好評。



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話はかわりますが、
この伝統バルサミコに並々ならぬ誇りを持っているオジサン(実はバルサミコの鑑定士さん)は、絶対に、バルサミコとは言わずに、aceto balsamico tradizionale di modna:アチェート・バルサミコ・トラディッツィオナーレ・ディ・モデナ、モデナ産の伝統的バルサミコ)と端折らずにいうのです。
毎度毎度、何十回と繰り返し言うわけで、この晩、寝るときにはこのフレーズが耳にこだましてなかなか寝付けなかったんですわ。
それにしても、説明聞くのが精いっぱいでミュージアム内の写真をあまり撮れなかった(泣)自分が勉強したいときには、通訳さんが別にいてくれると助かります、と学びました。
by buonaforchetta2 | 2009-11-09 21:06 | イタリアツアー2009&滞在記 | Comments(0)
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