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2010年イタリア滞在記⑧ プッツォーネ・ディ・モエナ チーズ工場見学 

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2日目の夜は、3日目に訪れる予定のCASEIFICIO(カゼイフィーチョ;チーズ工房)が運営するアグリツーリズモに宿泊。なんと、オープンしてまだ6ヶ月のできたてほやほや♪しかも5月はシーズンオフなので、宿泊客が我々だけ。いやいや申し訳ない。
ここのアグリ、丘の上にあり、気分はすっかりチロリアン♪
隣には牛舎も。絞りたての牛乳を翌日すぐにふもとの村まで持っていってチーズにするらしい。

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 朝食に出てきた牛乳はもちろん搾りたてですごく甘い。
それに、ここの牛乳で作ったリコッタのケーキ類がすごく美味しかった。どーやって作るの?と聞きたいところだったけれど、こればかりはもはや「素材」としか言いようがない。
美味しいので山盛り食べたかったのだけども、朝からこんなに食べたら後がどうなるか心配なので却下。あんなに美味しいリコッタチーズケーキはほんと初めて。あれを食べにだけまた行っても良いくらい。

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アグリの部屋はもう鼻血が出そうなくらいかわいくて、マリアと二人、きゃ~きゃ~大騒ぎして写真とりまくり状態だったのだけど、窓を開けると「牛臭い」(笑)。郡山のうちから車で5分走ったところにあるあの牛小屋の臭い。

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 しかしながら、その牛臭さを上回るチーズを3日目に見学したのでした。

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その名も、プッツォーネ・ディ・モエナ。プッツォーネはPUZZO(悪臭)に拡大・増大を意味するONEという拡大辞がついた言葉なので、直訳すると「ものすごい悪臭」という意味のチーズ・・・・。牛臭いどころのはなしではない。
プッツォーネはウォッシュタイプの硬質チーズ。作り方はほかのチーズとちょっと違う点がいくつか。
(ここから先は、大きく間違ってはいないはずだけど、私の聞き取った内容なので違っていたらごめんなさい。)

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1.非加熱のままの牛乳を35℃の温度で30分ほどかけて、凝乳させていく。
(パルミジャーノなどは、90℃まで加熱させて凝乳させていくので、違いは一目瞭然)
この大きなタンクで牛乳をかき混ぜてじっくり固めていく。


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2.凝固した牛乳(=チーズの素)を巨大プールに流し込んで水分を切る。
(低温で凝固させているので牛乳のほとんどの成分が凝固するため、風味が強いチーズができる。よって、絞り汁を再加熱して作るリコッタのような副産物は作られない)

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3.水切りしたチーズを木枠にはめて、約1日かけてプレス機で圧縮して水分を押し出す。
その後、木枠をはずして、プラスチックの枠にはめ変えてチーズ表面に印字する。
(ヨーロッパの食品ルールみたいなものでは、ほとんどのチーズで木枠使用が認められていないのに対して、プッツォーネに関してはこの木枠利用が許されている。木枠じゃないとプッツォーネにならないんだそうです)


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4.3日間、塩水に漬け込む。

そしてここからが、その名の由来になった悪臭地獄の始まり・・・・。

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5.室温10℃、湿度99%の熟成室で約3ヶ月かけて熟成させる。その間、週に2回職人の手で、冷水を使って表面にできたカビを落としみがいていく。

 言っちゃわるいけど、ここホントに臭い。入った瞬間、「うううっ。」とこみ上げてくるものが。いくら自ら「ものすごい悪臭」という名を名乗っているとはいえ、作っている人の前で「オエ~~ッ」とむせこんでは大変失礼かと思い、ぐっとなみだ目でこらえて説明を聞き入るのでした。だけど、そんな私をよそに、マリアは「臭すぎるから私先に出る」とのこと。

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それにしても、この5の苛酷な環境で、1人黙々と毎日チーズを磨き続けるこのおじさん。
・・・・・・。いろんな食のマエストロを見てきたけど、カンと経験がいる仕事にすごいとおもうことはあれ、こんな忍耐力の求められるこの仕事はちょっと、すごいをこえてカワイソウ…とつい思ってしまう。というくらい、ホントに臭い。おじさん、元気に仕事続けてください!


そして、ドキドキの試食タイム。初めてプッツォーネを食べました。
昨日の生ハムみたいにてんこ盛り出てきたらどうしよう・・・と心配したものの、ここはほんとに「一口どうぞ」試食だったので、ちょっと安心。ほっ。

やや癖はあるものの、食べなれれば美味しいチーズだと思います。気になる臭いもそれほど強烈ではなくて、う~ん、私の中ではそこまで臭いランキング上位には入ってこないかな~。聞いたところ、プッツォーネの名前は、チーズ自体の臭さから来ているのではなく、その熟成期間の臭さを表現しているのだとか。ほっ。

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 ここ、プッツォーネのほかに、トレンティン・グラーノも作ってます。作り方はパルミジャーノと同じ。牛乳の産地が違うので名前も変わります。パルミジャーノほどのコクはないものの、さわやかさを感じるグラーノでした。


 
by buonaforchetta2 | 2010-06-23 22:37 | イタリアツアー2010&滞在記 | Comments(0)
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